●古くは事件の真犯人を証明するものは物的証拠と容疑者の自白であった。そのため自白を強いるために数々の拷問が行われた。だが明治十二年から自白主義は否定され拷問も廃止されている。しかし、これは表面上のことであって警察検察側の拷問は今も巧妙に続いている。この映画は歴史の裏面を陰惨な血で染めた数々の拷問の実態を暴いた衝撃のセミ・ドキュメント。
●脚本と監督はベテランの高橋伴明。制作は激動の1960~70年代、ピンク映画ながら政治色の強い数々の作品を作り、全共闘世代に絶大な人気を誇った若松孝二。近年でも『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008年)、『キャタピラー』(2010年)が世界で高い評価を得ている。
ストーリー
事件の犯人を立証するものは物的証拠と容疑者の自由だけである。「証拠の王」と見られ、自白を得るために残酷な拷問が長いあいだ続けられた。明治十二年、人権尊重の立場から「大政官布告」によって自白主義は廃止され、それによって拷問も姿を消した筈である。だが ――-―
三話に分かれた物語は、レズの妻をもつ夫の目を覆う残虐な私刑と権力側の二つの事件を生々しく描くもので、いまもなお密かに行われている悲惨な拷問の数々を告発するものである。